超伝導の探求

超伝導の探究
超伝導の探求

超伝導の研究室に,のぞきに行った時借りた.読了.歴史中心.あまり数式が出てこない.読みやすいが頭に残りにくい.

超伝導はオネスによって1911年発見された.彼は低温での金属の電気抵抗値を調べていた.

常温では銅や金は水銀と比べれば非常に優秀な伝導体である.これらは低温下でも電気抵抗値はあまり変化がなく,優秀な伝導効果を示す.

しかし,水銀は温度を下げると電気抵抗値はみるみる下降し,やがて銅や金を抜き,ついに4.19Kで電気抵抗値が少なくとも10万分の1オーム以下になっていることを発見した.電気抵抗値が非常に小さく存在するのか,それとも真に0(完全導体)であるのか,これは測定機器の限界でもあり,理論の完成が待たれた.

時代は20世紀初頭.物理界は相対性理論や量子力学の構築に邁進していた.その中で,超伝導という現象はあまりにも難解なため当時は着目されなかった.

この時に分かっていた超伝導体の性質は,

「温度を上昇させる,ないしは外部磁場をかける」とどんな超伝導体も常伝導体(普通の金属)となる

ということだけだった.外部磁場ゼロで常伝導体が超伝導体になる温度を転移温度T_cといい,常伝導体が超伝導体になるときの外部磁場を臨界磁場H_cという.臨界磁場H_cは転移温度T_cではゼロである。温度Tの下降と共に大きくなる.次のようにかける.

H_c(T)=H_c(0)\Bigl(1-\Bigl(\dfrac{T}{T_c}\Bigr)^2\Bigr)

超伝導が再び脚光を浴びたのは,1933年のマイスナー効果の発見である.

まずはファラデーの電磁誘導の法則の確認から.常伝導体に外部磁場をかけると,磁場を打ち消す向きに電流が流れる.金属内の抵抗により,この電流はまもなく消滅し,打ち消す磁場はいなくなる.つまり,外部磁場が筒抜けになる.

そして,超伝導体に外部磁場をかけると,磁場を打ち消す向きに電流が流れるところまでは常伝導体と同じ.しかし,金属内の抵抗は0だから,電流は消滅しない.つまり,外部磁場を打ち消す磁場を発生しつづけ,正味の内部磁場はゼロになる.

さて,常伝導体に外部磁場をかける.外部磁場は筒抜けとなる.この状態で温度を下げ,超伝導体とする.すると,超伝導体の中に磁場が存在する状態が生まれる…のかと思いきや,超伝導体は猛烈な勢いでこの磁場を外に追い出す!! これがマイスナー効果である.

つまり,超伝導体は内部に磁場を許さない性質―完全反磁性―として知られることになった.

反磁性とは,磁石のN極,S極の両方ともに反発する性質である.え?そんなん存在すんの? 調べたら標準状態で最大の反磁性を持つのはビスマスとな.なんだよそれ,元素記号すら知らんわ.(Biです.エアリー関数かと思った俺はBessel関数のやりすぎ!←)

でも反磁性っていうのは実はどんな物質も持っているらしい.すごく小さいが.蛇口から水を流しているところに磁石を近づけると水が曲がるらしい.これも反磁性.

ここで,「超伝導体」の2つの性質「完全導体」と「完全反磁性」が発見されたが,まもなく「完全反磁性」こそが超伝導体の本質であることが理解された.なぜなら,もし「超伝導体」=「完全導体」ならば,常伝導体に外部磁場をかけて,磁場がある状態で温度を下げ「超伝導体」=「完全導体」とし,外部磁場をかけるのをやめると,今度はこの磁場を補う向きに電流が流れ,「完全導体」のために電流は流れ続け,その結果この「超伝導体」は磁石のようにふるまうはずである.しかし,実際にはマイスナー効果のように振舞う.つまり,超伝導体は外部磁場を外に追い出す働きしかしないのであって,積極的に磁場を形成する(強磁性体という)わけではないのだ.

「超伝導体」と「完全導体」は同じものではなかった.「完全導体」であることは必ずしも「超伝導体」であることを意味しない.理論的には「完全導体」であっても「超伝導体」でないものが存在してもよいことになっている.完全導体\supset超伝導体である.ただし,現実には反例(となる物質)はまだない.

マイスナー効果の2年後には,ロンドン兄弟によるロンドン方程式が発表され,現象論としてマイスナー効果は解明された.

1950年にはロンドン理論を精密化した,ギンツブルグ-ランダウ理論が発表されたが,その3年後,BCS理論によって完全に超伝導現象は解明された.

それはズバリ電子の「クーパー対」と呼ばれる考え方に拠る.これは,あろうことかクーロン反発で近寄るはずのない2個の電子がセット(クーパー対)になっているというのだ!

この奇想天外なアイディアは,無から出てきたものではない.それは「磁束の量子化」からの帰結であった.

先ほど,超伝導体は磁束が侵入しないことを強調したが,実は無理矢理押しこんでやると,今度は超伝導体が磁束を掴んで離さなくなる.もはやイミフwww

実は,超伝導体の内部の磁束は\dfrac{h}{2e}の整数倍の磁束しか許されない.これ以外の磁場では超伝導体のポテンシャルエネルギーが不安定になる.超伝導体には超伝導体なりの理屈があるのだ.

ここに2eというのがあるのは,間違いなくクーパー対の貢献である.低温下でブラウン運動の少ない電子らのうち,スピンが互いに逆向きの電子らは真に量子力学的な力「交換力」によってクーロン力と釣り合うことができる.これがクーパー対の正体.

そして,クーパー対は非常に大きい.二つの電子の間に原子数百個は入る.金属格子の中を電子が通ると,そのものすごく遠くから電子が一直線に追いかけてくる.これに寄せられた金属格子はさらに電子を呼ぶ.クーパー対を呼ぶ.こうして,同じ箇所を一度電子が通ると多くの電子がその同じ道筋を通ろうとする.これが,電流の通りやすさ,すなわち電気抵抗値が極端に低い理由となる.低温下なので,原子の熱振動もほぼない.

常伝導体中の電子は,熱振動する原子間をあっちにフラフラ,こっちにフラフラしながら進んでいくが.超伝導体中の電子(クーパー対)は快適に障害物だらけの金属を進んでいくことができる.

さらには,フェルミオンの電子が二つになるのだから,クーパー対はボソンである.つまり,全体で一つの基底状態が取れる.クーパー対の分布を記述する統計は,電子のフェルミ-ディラック統計ではなく,ボーズ-アインシュタイン統計となる.全く様子が変わる.

ま,研究室訪問して分かったのはこれぐらい.まあまあ面白そう.

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超伝導の探求」への2件のフィードバック

  1. 記事待ってました!!
    ボーズアインシュタイン統計とかww
    実は統計力学の先生がクソで統計アレルギーになった僕ですが、
    夏休み中に勉強して強化するんで本気でセミナーやりませう。(9月ぐらいにでも??)

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